ポイント

  • ・売上低下により休業させた従業員に休業手当を支払った場合に、その支払った休業手当の一部を国が助成してくれる制度です。
  • 助成してもらえる金額は前年の賃金総額に基づいて計算されるので企業ごとに異なります。
  • 助成金額の計算方法が複雑かつ細かな要件や提出書類が沢山あるので社会保険労務に慣れていないと申請作業は大変です。

全体像

最近1か月の売上高・生産量などが前年同期と比べて5%以上減少した中小企業(個人事業主含む)が従業員を休業させて休業手当を支払った場合、国から休業手当に相当する額の9割、一人一日上限8,330円まで助成される制度です。対象日数は令和2年4月1日から6月30日までの休業させた日数プラス100日です(最大191日)。さらに、教育訓練(自宅でインターネット等を用いた教育訓練含む)を実施した場合は2,400円が上乗せされます。

 更に詳しい条件や申請方法は、厚生労働省千葉労働局職業安定部職業対策課のウェブサイトをご覧ください。

助成金額はどのように決まるの?

 上限の「一人一日8,330円」という金額が印象的ですが、どの企業でも一律で上限の8,330円が適用されるわけではありません。先述の「休業手当に相当する額」とは昨年の全従業員の平均日給に休業手当の支払い率をかけて算出します。休業手当の支払い率とは就業規則や休業協定等で会社ごとに定めた率です。逆算すると全従業員の平均賃金が9,256円(8,330÷0.9)以上あってはじめて上限8,330円に該当する可能性があります。仮に、休業手当の支払い率を就業規則で60%に設定していたとすると、平均日給が15,427円(9,256円÷0.6)である必要があります。所定労働日数が20日の月給に換算すると308,540円(15,427円×20)です。全社員の年間の平均月給30万円超という水準は決して低くありません。給与水準を低く設定した従業員がいる場合はこの平均賃金が低くなりますので上限8,330円に届かない場合が多いと考えられます。

※「休業手当に相当する額」とは、前年度1年間における雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を、前年度1年間における1か月平均の雇用保険被保険者数及び年間所定労働日数で割った額に、休業手当の支払い率をかけて算出します。

利用の条件

対象中小企業は雇用保険適用事業所です。適用事業所でないと助成は受けられません。従業員は雇用保険被保険者でない週20時間以内のパート・アルバイトも対象です。必要書類に、就業規則や給与規定または労働条件通知書などがあるため、口約束だけで人を採用している場合は申請出来ない可能性があります。雇用関係ではなく、業務委託などの形で事業を手伝って頂いている方も対象外です。また、労働保険料の滞納や送検処分などがあると対象外となります。詳しくは先述のウェブサイトをご確認ください。
なお、9割の助成率が適用されるには1月24日から休業を実施した月の末日までに従業員の解雇等を行っていないことが条件です。解雇等を行っている場合は助成率が8割に引き下げられます。また、3月以前と7月以降の休業においては助成率が2/3と大きく低下します。

助成金はいつ入金されるの?

他の助成金・補助金もそうですが、国から入金があるのは申請してから数か月後です。従業員の休業期間が終了し、申請、国の審査を経て入金されます。それまでは従業員への休業手当の支払い、社会保険料の納付を企業が続ける必要があります。助成金入金までの手元資金があることが前提であることに注意が必要です。

活用のポイント

手続きは企業自らでも出来ますが、実際には社会保険労務士などの専門家に有償で委託をするケースが多いようです。昨年の全従業員の平均日給を求めるには、労働保険料確定申告書の確定保険に記載している賃金総額を元に、部署ごとの所定労働日数を加重平均するなど複雑な計算をする必要があります。また、必要書類が大幅に削減されたとはいえ、従業員と締結した休業協定書や、出勤簿・タイムカードの写し、賃金台帳の写し、給与規定の写しなど必要書類も多く複雑であるためです。また、会社が一方的に従業員に対して休業を決定するのではなく、休業する前に休業計画・労使協定を締結している必要があるなど細かな留意点が多いため、このコロナ禍で事業が混乱するなか片手間で手続きを行うのは簡単ではありません。

 日本経済は深刻な人手不足、採用難が続いています。コロナ終息後もその流れは変わりません。せっかく採用した大切な従業員さん達になんとか会社に残って貰えるよう、本制度をうまく活用しましょう。

<4月28日付の報道発表資料で以下の拡充案が発表されました。>

・休業手当の支払率60%超の部分の助成率を10/10にする
・以下の要件を満たす場合は休業手当全体の助成率を10/10にする

(1)千葉県の休業要請により(事業主の)休業又は営業時間の短縮に協力して(従業員が)休業している
(2)労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っている、または、8,330円以上の休業手当を支払っている(支払率60%以上である場合に限る)

※教育訓練を行わせた場合も同様
※令和2年4月8日以降の休業等に遡及
※労働者1人1日当たり8,330円が上限